人格障害の治療
人格障害の症状が発症することによって、様々な良からぬ行動により、日常生活に問題が生じてしまいます。
人格障害は、「一見正常に見えるが、実は生活上の見え方自体にかなりの歪みを生じてしまっている状態」であり、
すべてのことが、「自分を見捨てるか否か?」の意味だけで理解されて、情報が正しく入らなくなってしまっている状態が根底にあるとされています。
以下に、典型的な治療のスタイルをまとめておきます。
人格障害の典型的な治療スタイル
精神科の閉鎖病棟に入院
よく見られるケースとしては、自殺未遂で救急車で運ばれてきたり、あるいは警察に保護されたりして、強制入院に至ります。
あるいは、カウンセリング入院という形で、患者本人から治療相談があった場合に、本人が納得した上で病棟に入る場合もあります。
@ 過去を振り返る(認知治療)
治療の前半では、過去を徹底的に振り返ります。
閉鎖病棟で外界との接点を切った中で、自分を見つめ直すわけです。
問題行動を起こした原因はなんだったのか?
親との関係はどうだったのか?
真剣に自分自身を振り返ることができれば、頭の中が整理され、清々しい顔になります。
A 集団療法
開放病棟に移り、行動を自由にした中で、同じような問題を抱えていた人と話したりする機会を設けます。
例えば、アルコール依存の治療プログラムの一環として、同じ問題を抱えていた患者や医師の下で、自分の振り返った結果などを話します。
B 退院後に「うつ状態」との戦い
退院後、現実社会の中で再び様々なストレスが再び訪れます。
辛さやストレスを薬物やアルコールや人間関係への依存で紛らわせていたかつての自分をすぐに新しい自分に克服できるかどうか?
頭の中ではすっかり良くなっていても、新しいストレス解放の手段を見つけるまでに、通常半年くらいかかり、ほとんどの人が「うつ」になります。
通院を通して、「うつ病」の薬を使ったり、カウンセリングを繰り返す中で、上手くいけば「うつ」を乗り越えて、正常な状態になっていきます。
新しい行動パターンの中で、周りの人からも認められていく中で、うつの薬も要らなくなります。
※なお、宗教等が原因の場合は、人格障害とは別です。
過去に家族が入信したことによって、それを人格障害とみなして本人を精神病扱いにして、強制入院させ、かえって本人を人格破壊に至らしめたという悲しい事件がありました。
入院に至らない治療
問題行動がそれほどひどくない場合は、外来通院でのカウンセリングと抗うつ薬中心の薬物治療を行います。
カウンセリング
本人に現実をハッキリと知らせ、「問題行動に焦点を当てて」自覚を促していきます。
抗うつ薬中心の薬物治療
感情が不安定な時に、薬によって抑制していきます。
薬90%以上の患者が薬物療法を受けているという統計があります。
ただし、薬が全てを解決してくれるわけではありません。
以下の点に気をつけてください。
●薬で全ての症状が良くなるわけではない。
薬は飽くまでも対症療法。また、すべての症状に効くわけではありませんし、また副作用の危険性もあります。
●医師にきちんと相談
何にどれくらい効く薬か、どんな副作用が考えられるか、服用量の注意点などきちんと確認しましょう。効果が得られず不信感を募らせたり、薬を減らされて「見捨てられた」と感じるなど葛藤があれば、率直に相談すべきです。